大切な人とのお別れ(2)笑顔でありがとうと言って送り出そう!
先日に続いて、Fさんのお話しをさせていただきます。
滋賀県彦根市に、ケアリー彦根宇尾がオープンし、Fさんご夫婦は岐阜下佐波からお引っ越しする事になりました。
『彦根宇尾店ができるまで、もたないかもしれない。』
先生からそんな宣告を受けてましたが、
『8月まで何とか頑張って、滋賀県へ返してあげよう!』
とスタッフ皆で頑張って来たので、嬉しい限りです。
岐阜店オープン初日から入居したFさんが彦根へ引越しをするのは、滋賀県へ帰らせてあげられる!と言う喜びと、岐阜から居なくなると言う寂しい気持ちで複雑でした!
お別れ会をして、スタッフも、Fさんも大泣きしました。
お引越し当日も、抱き合って大泣きをしました。
彦根に移った事で、親戚の方がたくさんお見舞いに来てくれるようになりよかったけど、岐阜のスタッフに会いたいと、泣き出す事がありました。
そんな時はTV電話で、スタッフと話しあったり、岐阜からスタッフが手伝いに行ったりして、気を紛らわせました。
私たちみんなが、家族のように感じていました!
数ヶ月経ったある日、彦根のスタッフから電話で『お正月から体調が悪くほとんどご飯を食べれてません』と。
もともとFさんが食欲はビックリするほどの食欲があって、それまではお粥を400g完食していたのに…
急いでご本人に会いに行き、『ご飯食べれないの?』と聞くなり、私の顔見て泣きだして、『食べれない』と。
『お願いだから、ご飯食べて。』
看護師さんから話しを聞くと、食べたいものがないから食べれないんだ、と言っているそうでした。
『何なら食べれそう?』と聞くと、『唐揚げと巻き寿司』と言うので、慌ててスタッフが買いに行ってくれました。
それでも食べたのはほんの少し。
瘦せていた体がさらに痩せ細り、もう車椅子にすら座れなくなっていました。
それからの数週間は、スタッフが食べたいものを毎日準備してくれました。
それでも食べることがどんどんできなくなっていき、もう本当にいつどうなってもおかしくない状態になっていました。
Fさんに、お願いだから食べて。何なら食べれそう?と聞くと、そばが食べたいと。
それも、親戚の蕎麦処まで行きたいと言うのです!
その事を岐阜の施設長の田中さんに相談すると『社長、今日行きましょう。そういう事は先延ばしすると絶対後悔します。』と背中を押してくれました。
岐阜のスタッフも、数人が抜けてしまう穴埋めを快く受けてくれ、急遽、蕎麦屋さんへの冒険が始まりました!(その時のブログです)
1度目の蕎麦遠足は無事に成功に終わり、その日の朝まで、車椅子に乗れる状態ではないと言われていたのに、成功体験で、自信を取り戻したようで、次の日のとくし丸には何ヶ月ぶりか見るFさんの姿がありました!
元気を取り戻したFさんですが、それでも限界はありました。
Fさんはまたまたご飯を食べれなくなりました。
腸ろうはありましたが、生きて行くのに最低限の栄養しか入れられないため、更に痩せ細って行きました。
『お蕎麦なら食べれる?』と聞くと大きく頷いて、また蕎麦を食べに行くと言いました!
お店の店主にまたお願いして、2回目の蕎麦遠足が実現しました!
1回目の蕎麦遠足から1ヶ月後の実現です!
そこで、親戚の方も来てくれて、写真もとりました!
もちろん今回も完食です。蕎麦湯まで飲み干しました!
店主は、Fさんの甥っ子です!
『おっちゃん、来月もこれそうやなぁ。来月も待っとるで』
と言ってくれたので、Fさんと約束しました!
ただ命の終わりが近づいている事は明確でした。
その知らせを聞くと、山梨に行ったスタッフ、岐阜一号館の施設長、二号館の施設長に管理者、甲斐竜王のスタッフ、訪問歯科の先生までお見舞いに来てくれました!
みんなで、Fさんのベッドを取り囲み、笑いながらおしゃべりをしました。
カレンダーには次の蕎麦遠足の日に⭕️をつけてあります。
Fさんから、『その日まで頑張れそうにないから、もう少し早くしてほしい』と言われました。
自分の残りの命をわかっていたのかも知れません。
それでも、アイスを買っていくと、ペロリと食べてくれました。
夜勤中のスタッフも、大根おろしを食べさせてくれたり、ガリガリくんを食べさせてくれたり、皆んなでFさんの生きる気力を繋ぎました!
『みんなが心配してるから、笑って写真撮ろう』と言うと、笑ってピースをしてくれました!(亡くなる前日の写真です)
夜帰ろうとして、『また来るね』と声をかけると大きく首を横に振りました!
まだいて欲しいの?と言うと、手をぎゅっと握ってくれたので、スタッフの事、奧さんの事、お蕎麦屋さんの事、元気になったら、たねやに行く事など、たくさん話しをしました。
それが、Fさんとの最期の会話となりました。
翌日のお昼にFさんの呼吸が止まった。と施設から連絡があり、岐阜のスタッフと共に駆けつけました。
私達で最期のお風呂に入れてあげようと。
彦根に着くと、介護管理者のお孫さんとFさんが笑っている写メが残っていました。息を引き取る1時間前の写真です。
そして、その日の午前中はお風呂に入って、頭を専用のブラシで擦ってもらい、サッパリ、スッキリした表情のFさんが寝ていました。
看護管理者さんと最期のお着替え、メイクをして、ご家族と対面しました。
笑顔でありがとう!さようなら。でも寂しい😭
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